Nextepisode’s blog

院生(M1) 専門-開発経済/国際関係

2018-02-01から1ヶ月間の記事一覧

日本国憲法が保障したものの大きさ

私の祖父は77歳になった。ちょうど幼少期に戦後を迎えた祖父は、言ってしまえば「日本国憲法と同世代」ということになる。思想・良心の自由を掲げる憲法のもとで、様々に表現されたものを見たり、あるいは自分で創作して発表する機会を得てきた世代だ。「長…

情報社会に生きるということ

仕事終わりの電車の中、何やら三人組の男子高生が話している声が聞こえてきた。「翁長さんの発言は支持できないね。実際のところ沖縄の人たちは米軍基地があって生活が成り立っているのだから」。私は「高校生でも政治についてしっかり考えているんだ」と関…

表現者は自粛し、周囲は萎縮する

「これから配布する文章は世界で最も素晴らしいものだから、ぜひ知ってもらいたい」と担任の教師は目の前の生徒達に伝えた。これは今から50年ほど前、私の父が小学生だった頃の話である。先生は笑顔で、まるで面白いアニメや漫画を見るかのように、手書きの…

子どもを最優先に考えた離婚

春の訪れを待ちわびながらちょうど去年の今頃、私は「夫婦断絶防止法」に関する講演会に参加した。この法案は、「離婚等の後も子が父母と親子としての継続的な関係を持ち、その愛情を受けることが、子の健全な成長及び人格の形成のために重要である」という…

共謀罪の何が問題か

今から2か月前、私は共謀罪が強行採決されたことを受け記事を書いた。 nextepisode.hatenablog.com 多くの民衆の意を反して少数の権力者が強引に採決した法案は、我々にこの国の政治が腐敗していることを認識させた。本稿では共謀罪の危険性について、それを…

暴徒化する中米の北部三角地帯

ここ最近難民を扱うニュースが減ってきているが、海外のニュースを観ていると状況は何ら変わっていないことがわかる。紛争による大量の難民を想定していなかった従来の保護体制が限界をきたしていることは明らかである。難民というと、我々の多くは中東やア…

こうしてテロリストが形成された

2015年11月13日、UNESCO総会へ参加するために滞在していたパリのホテルに「パリ市内で大規模なテロが起きた」という知らせが入った。部屋に戻りパソコンを開くと、家族や友人、大学の教員から連絡が入っており、生存確認の連絡を返した。その後、パリ市内に…

制御不能の労働力不足

去年2017年度の失業率は23年ぶりに3%を下回り(2.8%) 、有効求人倍率は1.59と1974年1月の1.64以来44年ぶりの水準であった。高度経済成長の後半からバブル期のピークさえ抜くかのように思えたほどであった。しかし、日本が抱える人手不足は今後さらに深刻化す…

問われる平常時の住宅政策

東日本大震災から7年が経とうとしている。 東北の震災3県である岩手、宮城、福島では今なお3万人もの人が仮設住宅に住み続けている。応急的であり、一時的な仮設住宅に多くの人が長く住み続けなければならないということを、我々はどのように考えているのだ…

現実を直視することからはじまる共存社会

少子高齢化で労働人口が右下がりを続ける中で「移民」という言葉を耳にする機会が増えた。そして残念なことだが、少なくともそれは欧米諸国においてネガティブな文脈で語られることが多い。フランスで起きた同時多発テロ、ブリュッセル連続テロ事件、そこで…

ボトムアップ政策としての住宅政策

近年、多くの政党が教育の無償化を政策課題に掲げるようになった。おそらくそれは、他の先進国と比べ望外に高い授業料や相対的貧困率が上昇する中で、経済的に高等教育への進学を諦めざるえない人たちが出てきたことが主な要因であろうと思う。確かに教育の…

LGBT~みなが生きやすいと思える社会の構築〜

2015年6月26日、アメリカで同性婚が合憲だという判決が最高裁で下された。日本はこれ以上、LGBTの人たちの当たり前の権利を等閑視できなくなった。数日前、Yahooのトップにスペイン人女性と日本人女性がスペインで同性結婚をしたという記事が掲載されていた…

準強姦にみる現行法の穴

準強制性交とは、相手に薬物や酒などを飲ませて抵抗不能な状態にしたり、既にそのような状態にある相手に対し、性交を強要する行為を指す。今は準強制性交と呼ばれるが、それまでは準強姦と呼ばれていた。暴力や脅迫によって性交を強いる強姦では、身体にア…