Nextepisode’s blog

院生(M1) 専門-開発経済/国際関係

世帯年収800万の壁

 

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‪子供2人育てるのに世帯年収800万が必要という意見がある。子育てというのは経済学でいう一種の"費用逓減"のようなもので、例えば子供2人育てるのに年間100万円がかかるとして、2人目を育てるのに更に100万円が必要かというとそうではなく、長女が1、2回しか使用しなかった洋服を妹におさがりとして着させたり、一回の食事で皆が食べることを考えれば一人当たりにかかる食費は人数に比例しない。

 

ということを考えると、子供一人育てるのに世帯年収が800万必要ということは、子供一人育てる場合の世帯年収は500-550万円といったところだろうか。

 

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日本人の世帯当たりの年収の平均値と中央値を見てみよう。2009年では平均値は549万円、中央値は438万円となっている。

 

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次に男女の年齢別に年収を見てみると、男性で平均年収が500万円を突破するのが35歳〜となっている。従って子供一人を育てるには①夫婦共働きをする②夫の年収が500万に達する35歳〜から子供を育てる、のどちらかの条件を満たす必要がある。

 

子供一人育てるのに世帯年収で500万円が必要だというと、特に地方の者からすれば懐疑的で、そこまで子育てはお金のかかるものではないという者もいるだろう。しかし少子化を経験している中国を見てみると、近年子供一人にかける費用が右肩上がりだ。実はこれは日本でも同様のことが言える。激しい中学受験のために子供に幼児期から習い事をさせ、都市化の波に乗るように地方からどんどん都市部へと移住する人が増え、それに伴って収入の上昇以上に出ていくお金が多くなる。著者自身、公立中学に通う子供の歴史や国語の教科書を見て、将来の自分の子供に公立に通わせるという選択肢がなくなった。また教育一つにしてみても、今後は受ける側に選択肢が増え多様化し、より高いサービスをより高いお金で受けられる機会が増えてくる。

 

このようなことを考えると、子供一人育てるのに世帯年収で500万、二人育てるのに世帯年収で800万円という一つの基準はかなり妥当な基準だと言えるのではないだろうか。