Nextepisode’s blog

院生(M1) 専門-開発経済/国際関係

人口集中で広がる格差

 

世界では史上比類ないスピードで都市化が進んでいる。日本でも近年東京や大阪などの都市部に地方から移動してくる人が絶えず、地方分権を強化し、都市部から地方へ人口を戻そうとする動きも加速してきた。

 

人口増加に関しては以前別の記事で少し触れたのだが、都市化に関しては触れてこなかった。そこで今回は、都市化について簡潔に現状を把握しておきたい。

 

都市化と聞くとしばし批判的に捉えられる傾向にある。著者自身、たとえ都市化によって物流コストが下がり、労働が集約する事により経済活動の生産性が上がるといった恩恵の側面があるとしても、すぐにでも都市への人口集中を抑制させるべきだと考えている。著者がそう考える理由は最大公約数的に言えば一つである。格差を増やさないためだ。

 

既に述べたように都市化はいくつかの機会をもたらすが、その機会は決して公平に行き渡っておらず、結果として格差が広がってきている。ある一定の都市生活者は、他の住民よりもはるかに不健康な環境で生活することを余儀なくされている。とりわけ途上国では、結果として超高層ビルの足下でスラムが形成され、その規模も広がりつつある。

 

WHOでは都市部への人口の集中により、劣悪な移住条件、食料や水の安全性に関する問題、衛生設備や固形廃棄物処理不備、大気汚染や過剰な交通量を挙げている。

 

私もフィリピンの首都マニラ、ケニアの首都ナイロビ、インドネシアの首都ジャカルタなど都市化が急速に進む都市を訪れたが、やはり渋滞が多く、排気量度外視から空気は汚染され、上下水道の設備が不足している平屋が多くあるのを目にした。

 

そのような状況を改善させようと、国及び地方自治体の行政機関は都市化に伴う課題に取り組んではいるが、ほとんどの場合、都市生活者の安全と健康に欠かせない基本的インフラの構築のペースが急激な人口増加に追いついていないのである。また途上国では特に、仕事が決まる以前に農村部から都市部に移住してくる人が多く、結果としてスラムの拡大に繋がっている。

 

思えば、人口が100万人から800万人に増えるのに、ロンドンでは130年かかったのに対し、バンコクでは45年、ソウルでは25年でその増加を成し遂げた。また近年では、カンボジアプノンペン、メキシコのティファナ、モロッコマラケシュ、ナイジェリアのラゴスなどでは、年間4%の人口が増え、17年後には人口は倍増すると予測されている。このままいけば2050年には全世界で10人に7人が都市部に移住することになる。

 

日本では都市化から発生する問題以上に恩恵を語る場が多く設けられている現状がある。今後はマイナスの側面に関しても活発に議論し合える場が増えればと願う。

 

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