Nextepisode’s blog

院生(M1) 専門-開発経済/国際関係

AIに対する素朴な疑問


AI(人工知能)の発達で人間の頭脳労働の代替えが可能になり、中間管理職が不要になり、経済成長が起きると考えられています。実際既に多くの企業がAI取り入れていて、作業の効率化に励んでいます。そこで一つ疑問なのですが、本当にAIの導入で経済成長が可能なのでしょうか?というのも私の知る限りAIは物質的に何かをしているわけではないように思うのです。例えば、第二次産業革命で化石燃料の使用により人類は爆発的に豊かになりました。化学燃料の導入によりフランスの穀物生産は6倍にもなりました。フランスのみでなく日本を含めアジア諸国や南米諸国でも多くの国で農業の生産量が何倍にも上がる転機になりました。例えばAIの導入で将来の株価が予測可能になり利益が出たとしても、それはお金が右から左へ流れているだけで物質的には何も起きていないですし、アマゾンの倉庫なんかは殆ど自動で管理していますが、それにより人件費が削減でき、正確にスピーディーに物の管理が可能になっても、それで何かが生まれたわけではないような気がします。囲碁でAIはプロに勝ってしまいましたが、それで経済成長は可能になるのでしょうか?。従ってAIの導入で中間管理職の人達の職がなくなり、株価が予測でき、投資銀行の人員を削減したとしても社会全体として豊かになるわけではないように思うのです。一方でAIの導入で自ずと不要になる職業や作業は出てきます。そこで浮いた人員をどうするかの議論はもう少し進めた方が良い気がします。ただ重要なのはそこで浮いた人員が皆無職になるかというと必ずしもそうではないということです。どういうことかと言いますと、例えば現代と100年前を比べてみると分かりやすいと思います。100年前は今日のようにここまで機械化が進んでいませんでしたし、スマホやPCの出現により100年前には必要だった人的作業が今日の社会で必要ではなくなっているものも多くあります。では労働者の人口は100年前と比べ減ったのかというとそうではありません。技術の発達により浮いた人員をそれにより新たに生まれた市場が吸収したのです。ですのでこの原理から言えばAIの導入により確実に浮く人員はそこで新たに生まれる市場が吸収するのですが、先ほど述べた通り、AIは物質的には何かをしているわけではないということ、また有限の世界で無限の成長は不可能だということ、この2点は注視すべきではないでしょうか。

 

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